飛んでいったボールは俺もびっくりするような、いい打球だった。彼女も、「わあー、ナイスショット」と言ってくれた。ボールはフェアーウェイ、ど真ん中へ飛んでいっている。手の中に残るいい感触に、先ほどの恥ずかしい思いは消えていた。そしてしばらく、その余韻に浸っていると、彼女が、
「加納さん、じゃー先を急ぎましょうか。大分前があいたみたい」
と言って、急ぐように促した。俺もはっと我に返り、ティーグランドの人たちに頭を下げると、彼女と一緒に小走りに先を急いだ。自分の打ったゴルフボールに辿り着いた時には、吉川さんも、橘さんも、もうすでに二打目を打ち終わった後だった。俺は手に持っている七番アイアンで再び振りぬいた。今度はちょっとトップ気味だったが、ボールは真っ直ぐに前へ飛んでくれた。続いて久保田さんがバフィーを手に取り振りぬいた。今度もナイスショットだった。彼女のハンディーは二十五と書いてあったけど、「相当上手いな」と思った。彼女が打った後、俺は七番アイアンを手に持ったまま、一人で自分のボールに向って走った。彼女のボールは俺のボールより、はるか先のほうにある。自分のボールに辿り着いた時、例によって、前の二人はもうすでに、三打目を打ち終わっていた。二人のボールは前方のグリーン近くにあるみたいだ。俺が打つのをグリーン近くで眺めている。再び手に持っていた七番アイアンでボールを打った。今度はナイスショットだった。ボールはグリーンを飛び越え、グリーン奥のバンカーに入ったみたいだ。当たらなくて良いときには、よく当たる。俺は自分のボールを打った後に、久保田さんの方へ近づいていった。
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