初めは、必要に迫られて始めたゴルフ練習だったが、今では、少しずつゴルフの面白さが判りつつあった。クラブヘッドがボールの真芯を捉えた時の感触は、この上なく気持ち良かった。俺はゴルフ練習も四週間目に入ると、中山のゴルフレッスンが終わった後も、一時間ぐらい自分なりに練習をするようになった。ボールはそれほど飛ばないが、十球中九球は真っ直ぐに前へ飛ぶようになった。中山も俺の上達振りにびっくりしていた。
ゴルフレッスンを受ける日も終わりに近づき、残りの三日間は、パターの練習とゴルフのルールの説明を受ける事になった。パターはカップに入れるだけなので、俺にとっては一番簡単だった。パターの振り方を教えてもらうと、いとも簡単にカップへ入った。パターは問題ないと俺は思った。中山も「それだけ入れば、初めてのゴルフコースでも、迷惑はかけないだろう」と言ってくれた。
ゴルフレッスンの最終日、中山はゴルフスイングに対して、全般的にチェックしてくれた。俺のスイングを見て、「まあ、これで他のメンバーに迷惑をかける事はないだろう」と言ってくれた。俺も四週間の練習の成果に満足した。最後に中山は、プロのドライバーショットを披露してくれた。俺はそのドライバーショットを見て、びっくりした。俺のドライバーショットは、会心のショットでもネットに届かないのに、その今見た打球は、ネットの上段に突き刺さった。多分、俺の倍ぐらいは距離が出ているに違いない。続いて、ドローボール、フェードボール使い分けて見せてくれた。どの球もボールの勢いが俺とは全然違う。何かの曲芸を見ているようだった。俺が羨望の眼差しで眺めていると、俺の方を振り向き、
「どうだ、これがプロの打球だぜ!」
と言った。
「すごい、やっぱりプロは違うな。お前もその内にゴルフツアーで優勝するよ」
と俺は素直な感想を言った。 |