次の日、俺は中山ゴルフ練習場へ向かった。実を言うと、俺は今まで一度もゴルフをしたことが無い。中山ゴルフ練習場には、俺と小学校時代の同級生である、中山プロがいた。
彼はレッスンプロではなくて、歴としたツアープロだ。男子プロゴルフ界のレベルは非常に高いらしく、シート権はなかなか取れないでいるらしいが、それでもシーズン中は、全国各地をいろいろと転戦していた。今年は腰を痛め、試合に参戦するかどうか様子を見ているところらしい。俺はゴルフコンペの為に、ゴルフ道具一式を用意しなくてはならなかった。そこで頭に思い浮かんだのが、中山の存在だった。俺は電話帳で彼の電話番号を調べ、早速、彼に電話してみた。久しぶりに話す俺からの電話に、最初中山も俺の事が誰だか判らないでいたが、小学校時代の同級生だと話すとすぐに思い出してくれた。俺は事情を説明し、格安のゴルフ道具を置いてないか聞いてみた。中山は中古のクラブなら、いろいろ置いてあるからすぐに出て来いと言ってくれた。
俺が練習場のロビーに入ると、中山はソファーに腰掛け待っていてくれた。そのソファーから見えるところに中古のクラブがいっぱい置いてある。中山は俺の顔を見つけると、
「おー、加納、久しぶりだなー。元気にしてた?」
と話しかけてきた。小学校以来、初めて会う中山は、顔も精悍になり、逞しく見えた。身長も俺より若干高い。
「おー、本当に久しぶりだな。十五年ぶりぐらいかな?そっちこそ、元気にしてた?」
俺も彼に聞き返した。
「腰を今ちょっと痛めているけど、それ以外は至って健康だよ。しかし今時、ゴルフクラブも握った事がないなんて、珍しい人間だな。お前も・・」
「うーん、今までゴルフとは全く縁が無くってね。それにゴルフなんて、年寄りのやるスポーツだってずっと思っていたしな」
「おいおい、俺は年寄りじゃねーぞ」
「あっそうだな、ごめんごめん」
二人して声を出して笑った。小学生の頃仲が良かった為、すぐに打ち解けた。 |