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俺たちの組はアウトの一組目だった。参加者もまだ数多くの人たちがその場に残り、俺たちのショットを見守っていた。俺はじゃんけんの結果、一番目に打つ事になった。普段なら観客もいるし相当緊張する所だが、先ほど吉川社長が笑わしてくれたおかげで、割とリラックスしてスイングする事ができた。出だしにも関わらず、会心のショットだった。シングルの人たちに囲まれる中で、いいショットがでると気持ちがいい。続いて亀田さんがティーアップした。いつもに無く真剣な表情をしている。今日の握りの大きさが多少プレッシャーになっているのか・・しかしさすがに場数を踏んでいる。ナイスショットだった。後の二人はいつものごとく淡々とした表情で打った。競技ゴルフのスタートはこんななんとも言えない緊張感に包まれた感じなのかもしれない。俺たちは観客に頭を下げると、フェアーウエイに向かった。
このコースは自分のホームコースの為、コースの隅々まで俺は知り尽くしていた。それに今日はコンペの為、白マークからのスタートだ。距離がないと言う事は、三人の中で飛距離が一番でない俺にとって有利だった。二打目で無理して長いクラブを持たなくても、耐えていけば何とかパーが拾える。俺は二百ヤードぐらいの飛距離があればグリーンに乗るところでも、オービーゾーンのせり出している所ではあえて得意なアイアンで刻んで、寄せ勝負に徹した。そのおかげで前半のハーフは三十八であがってきた。吉川社長はスリーアン.ダーの三十三、内山さんは三十七、亀田さんは三十九だった。亀田さんはいつもの攻めのゴルフが災いし打ち込んではいけない深いラフに二回打ち込んだ。俺は充分にそのミドルホールを理解していたのであえて五番アイアンでティーショットを打った。コースを理解しているかどうかもスコアーに大きく影響がある。
ハーフ休憩で食事を四人で取っていると亀田さんが俺に話しかけてきた。
「加納君、君が堅実なプレイに徹しているから面白みがないよ。もっと場を盛り上げてやろうと言う気持ちはないのかね」
「亀田さん、今日はピヨンという言葉がでないですね」
俺も言い返した。内山さんは一人で笑っていた。吉川社長も話しに加わった。
「加納さん、亀ちゃんの話なんかに耳を貸さなくて良いからね。亀ちゃんだって九州アマの予選の時なんか、本当に面白くないゴルフに徹しているんだから・・それに今日は亀ちゃんから今までの負けた分、取り戻さないとね」
「吉川さん、それは無いでしょう。俺は加納君にはお世話になっているけど、吉川さんにはお世話をしているんだから・・」
亀田さんがそう言うと皆笑った。
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