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アマゴルファー 加納 竜也は 今日も行く 第105回

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それから以降、何をやっても上手くいかなくなった。バンカーに入れば目玉になっているし、ナイスショットでもデイポットの中にボールがある。その内にパターの調子も狂いだした。一メートルぐらいのパターもことごとくカップにけられるようになった。終わってみると、後半は四十八叩いてしまってトータル九十だった。吉ちゃんも巧みな亀田さんの陽動作戦にはまり、後半四十五のトータル八十七だった。しかし亀田さんはさすがに強かった。俺たち二人が崩れたせいもあって、伸び伸びとゴルフを楽しんでいた。トータル七十二のイーブンであがった。内山さんは後半、頭に血が上っている俺たちにいろいろと気を使ってくださっていた。亀田さんが俺たちに話しかけようとすると、
「亀ちゃん、あんたも少しは黙ってなさい」
とたしなめた。俺たちに気を使いすぎたせいか、亀田さんほどスコアーが良くなかった。それでもトータル七十九であがってきた。結局俺はトータルで二万円支払う事になってしまった。亀田さんに二万円手渡すと、
「今日はいつもに無く調子が良かったピヨン。これに懲りずに又いつでも挑戦してきなさい。このお金は次の時まで預かっとくピヨン」
と言って、俺の肩を叩いた。実にムカつく後味の悪いゴルフだった。でも自分で自滅してしまったのだから、仕方がない。自分自身にも腹が立った。
 でも吉ちゃんを家まで送り届け、自宅へ帰る車の中で冷静になってみると、今日のゴルフに対して反省する事ばかりだった。確かに亀田さんも内山さんも強いと思った。ここ一番のパットは必ず決めてきた。俺と勝負に対しての心構えが違っていた。「かなりの修羅場を潜り抜けてきているなー」と思えた。「やはり競技ゴルフを経験していかないと真の強さは身につかないのかなー」とも思えた。来年は競技ゴルフもやってみようと心に決めた。





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アマゴルファー 加納 竜也は 今日も行く 第106回

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 今年の九月は頻繁に九州地区に台風が上陸した。そのせいで、吉川さん所の工事は大幅に遅れていた。十月も中盤に差し掛かるのに、内部の工事は今からが本番だった。十一月三日のオープンに向けて、少なくてもその一週間前までには全ての工事を完了させなくてはいけない。現場では建築工事には珍しく夜遅くまで残業が続いていた。俺も現場事務所で夜遅くまで過ごす事が多くなった。
 あれから高尾カントリークラブの月例にも毎回参加し、俺はオフィシャルハンディー十二を貰っていた。まゆみさんも俺と月例に初めて行った時から調子が良く、オフィシャルハンディーが十七にまであがっていた。ここの工事期間中、亀田さんとも現場で会う機会が多くなり、その後、二回一緒にラウンドした。しかし悉く撃沈させられた。でも負けた分を支払うと、毎回、夕食をご馳走してくれた。この前は俺の負けた金額よりも倍ぐらい金額の張る高級なステーキまでご馳走になった。ラウンド中は本当に煩い人だが、ゴルフを離れたところでは結構いい人だった。酒を一緒に飲みながら、ゴルフに対する心構えや競技ゴルフについても、いろいろと教わった。「でもこの人とはお金を持っている時じゃないと一緒に回れないなー」とも思う。
 現場事務所でここ一ヶ月間の自分のゴルフを振り返りながらゴルフ雑誌を見ていると、突然、吉川社長が現れた。時計を見てみると、もうすでに午後十一時を過ぎていた。
「どうされたんですか?こんなに遅い時間に!」
「いやー、皆、夜遅くまで頑張ってくれているから、たまには激励に顔を出さないといけないなと思ったもんだから・・」
「あー、そうですか。それは有り難うございます。もう現場は見られましたか?」
吉川社長はすでに現場に顔を出してから事務所に立ち寄ったみたいだ。
「ところで加納さん、今度、店がオープンしてから開店祝いと忘年会も兼ねてゴルフコンペをしようと思うんだけど、工事関係の人たちの出欠の確認を加納さんに頼んでもいいですかね?」
「良いですよ。楽しみにしてます」
俺は快く請け負った。それからしばらくして、
「この頃、亀ちゃんにゴルフで痛い目に遭ってるんだって?」
と聞かれた。亀田さんとはたったの三回しかラウンドした事がないのに、もう噂になっているらしい。俺は、
「えー、いい勉強をさせてもらってます」
とだけ答えた。



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アマゴルファー 加納 竜也は 今日も行く 第107回

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「今度やるゴルフコンペの時、私と加納さんとチームを組んで亀ちゃん、内ちゃんコンビと戦いましょうか?私が一回、ぎゃふんと言わせてあげますよ」
何と返事をしていいか判らず俺が黙っていると、「いいから私に任せときなさい」と言われた。これは今から面白くなってきた。ハンディー〇とハンディー六の戦いである。勝負師二人が如何にハンディー〇に立ち向かっていくのか一緒に回らないまでも興味がある。
「今まで一緒に回った事があるんですか?」
社長に聞いてみた。
「一緒に回った回数は少ないけど、大会ではしょっちゅう会ってるからね」
「それで勝率は?」
「九割は私が勝ってますよ。だっていつもスクラッチで勝負してるから」
「オフィシャルハンディーどおりに、ハンディーをやらないんですか?」
「九州アマにしても宮日杯にしても競技大会ではハンディーなんて関係ないからですね。強いものが優勝する。これが競技大会ですよ。その辺、二人ともよく理解しているから、ハンディーくれとも言いませんけどね・・一緒に回ろうって言う誘いもありませんけど」
俺は今まで競技ゴルフもオフィシャルハンディーで戦うのかと思っていた。
「それじゃ、何でオフィシャルハンディーなんか設けているんですか?アマチュアゴルファーには余り関係ないですよね」
素朴な疑問を社長に聞いてみた。
「うーん、まず一つは、練習する励みになりますよね。それに九州アマなんかは、ハンディー十以下しか出場できませんしね・・加納さんは今ハンディーが十二でしょ?後二つあがらないと九州アマには参加できない訳ですよ」
ハンディーによって参加できない大会がある事も今日初めて知った。俺は社長の話を聞きながら、当面の目標をハンディー十になる事と定めた。



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アマゴルファー 加納 竜也は 今日も行く 第108回

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 工事の方は残業をして追い込んで行ったおかげで急ピッチで仕上がっていった。さすがに亀田建設は県のAランクだけあって機動力がある。十月二十五日には内装まで全て仕上げた。内装工事に取り掛かって僅か十日間ぐらいしか立ってない。短期間にも関わらず、仕上がりも良かった。吉川社長も満足していた。店の中には今日からパチンコ台の専門業者が機械の設置にはいる。その期間、本体工事は電気関係のチェックとダメ直しに入っていた。俺も久しぶりに大ちゃんを誘って薄暮に行くことにした。吉ちゃんも誘ってみたが、機械設置に立ち会わなければいけないと言う事で一緒に行けなかった。それから他の人も当たってみたがメンバーが揃わず、結局二人だけで回る事になった。ゴルフ場で大ちゃんに会うと彼は又ドライバーを買い換えていた。今度はテーラーメイドのR三百を使っていた。それもブリジストンのX五百から買い換えたのではなく、それからすぐにブリジストンのV七百に買い換えて、今使っているクラブはその後だった。
「大ちゃん、この前のX五百はどうしたの?」
「あのクラブは倉庫の中に眠ってますよ」
「それじゃ、あのクラブ俺に二万で譲ってよ」
俺のビゲストも悪いドライバーではなかったが、この頃、万振りしなくなったせいか、シャフトが硬すぎた。その点、大ちゃんが以前使っていたX五百はシャフトがSで今の俺にはぴったりくる。何回かラウンドする時に使わせて貰ったが、ヘッドの重みも、シャフトのバランスも俺は好きだった。実は大ちゃんが今度買い替える時を、ひそかに狙っていたのだった。大ちゃんが、「譲っても良いけど安すぎるよ」と言うから、二万五千円で手をうった。大ちゃんの使用したクラブは丹念に手入れをしているから、半年ぐらいの使用だったら新品と全く変わらない。