そんな訳で俺たち三人は、トータリークラブの例会が終わるとレインブリッジカントリークラブへ向った。このコースは久山さんのメンバーコースらしい。例会の途中でクラブハウスに電話をかけ、予約を入れてくれた。クラブハウスに着くと俺たちの前に二台、ゴルフカートが止まっていたが、それより先にコースへ出してくれるようだった。おかげさまで、待ち時間無しで回れる事になった。吉川さんがハンディーを七つ貰ったので、俺も七つ貰う事にした。ゴルフカートでインの十番ホールに着いて俺が素振りをしていると、久山さんが俺のクラブバッグを見ながら、一人でくすくす笑っていた。俺は何が可笑しいんだろうなと思い久山さんに聞いてみた。
「大ちゃん、何が可笑しいの?」
「あーごめんなさい。だって加納さんのクラブ、余りにも古くて、何種類も入っているんですもん。ドライバーがキャロウエイでしょ。クリークとスプーンがマクレガーでしょ。アイアンがヨネックスでしょ。そしてサンドウエッジがウイルソン。大体、まともなクラブと言えば今加納さんが手に持っているキャロウエイぐらいしかないし・・」
「えー、そんなに可笑しいかい?クラブを替えると、もっとスコアーが良くなるかな」
と俺は久山さんに言った。
「確実にスコアーは伸びると思いますよ。ドライバーだって、そのビックバーサは古いタイプだから、僕がこの前まで使っていたビゲストに替えれば後、十ヤードは確実に飛距離が伸びると思いますね。それに今頃から、カーボンシャフトのアイアンを使っていたら、年取ってから使うクラブがなくなっちゃいますよ。僕たち若者は、やっぱりスチールシャフトを使わなくっちゃ」
久山さんが話し終わると、吉川さんも話しに加わってきた。
「竜ちゃん、言いにくいけど、俺もそう思うわ。でも大輔はゴルフクラブオタクだから、こいつも異常だけどもね。だって三ヶ月に一回、クラブ買い換えてるんだから。あっそうだ、大輔の飽きの来たクラブを安くで譲ってもらえば!」
「へー、大ちゃんって、そんな金持ちなんだ?」
「金持ちなんかじゃありませんよ。ただ会社経費で落としているだけ」
「いいな。もし買い換える時は安くで譲ってね」
俺がそう言うと、久山さんはにこっとして頷いてくれた。俺たちが話し込んでいる内に、前の組は二打目を打ち終わっていた。久山さんが、
「それじゃ、そろそろ行きましょうか」
と言った。
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