最後に俺たちは中山のボールの所まで移動した。
「加納と純はここからは打たなくてもいいや。ゆかりちゃんはここから打ってみて」
ゆかりさんがスプーンを手に取ろうとすると、
「ゆかりちゃんは、何ヤードまでなら、ピンに寄せる自信があるかい?」
「百ヤードまでなら何とかなると思いますけど・・」
「それじゃ、わざわざスプーンで打つ必要もないんじゃないの。それで打つと下手したらグリーン手前のバンカーに入る可能性もあるよ」
彼女はにこっと笑うとスプーンからクリークに持ち替えた。ナイスショットだった。グリーンまで百ヤード付近のフェアーウエイでボールは止まった。続いて中山が自分のボールをバフィーで振りぬいた。ボールはグリーン手前、五ヤードぐらいに一旦落ち、一揆にグリーンを駆け上がっていった。ピン奥でボールは止まった。ナイスツーオンだった。中山が俺たちにガッツポーズをとって見せた。皆で拍手した。
三打目はそれぞれに自分の所から、最初に打ったボールを打つ事にした。ゆかりさんだけが、グリーンまで百四十ヤード残した最初のボールと、二打目に打ったボールの両方を打つように中山が指示した。それぞれが三打目、四打目を打ち終わり、全てのボールがグリーン上に乗ると、そのボールはそのままにし、俺と吉川さんはバンカーに集まるように中山から言われた。違う状態で三個のボールがバンカー内に置いてある。一個は正常な状態で平たい所に、もう一個は靴後の窪みの中に、そして最後のボールは土手に三分の一ほど埋まっていた。
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