| 「ばあちゃんはさ、『アケビ』に昔のことを書いたとき、どんな気持ちがした?」
公民館からの手紙を智雄の手から受けて読んでいた、孫の武夫が口を入れた。
「ウーン、そうだね、ちょっぴりうれしかったかな」
「だろうね。やっぱり、何かを書いたり話したりしてさ、それをいろいろの人に読んだり聞いたりしてもらえるのはうれしいよ。しかもそれはさ、特別、人に隠しておきたいようなことでないのが普通なんさ。むしろほかの人に知ってもらいたいような内容の事が多いはずなんだ」
「なるほど、そう言われれば…」
「だからさ、公民館の方としてはばあちゃんの文章を見てね、この大沢文子という人間はまだまだしゃべりたいことがあるはずだ、とまあ、このように睨んだんじゃないかな」
「うん、武夫、それは面白い。俺も賛成だな。いや、ナーニ、人の前に出たことがないなんて言っても、みんな同じ人間だがね。とって食われる心配はないんだから」
「だけど、上がっちまうんじゃないかと…」
「いや、自分のやってきたことだがね。これとこれをしゃべってるんだっていう風に、何を話すかということさえしっかりと決めておけば大丈夫と思うけどの」
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