| 「渡部さんといったかの。この地の人なんだろうか」
「いや、よそから来た人でね。妻が亡くなって一人きりになったもんだから、娘の嫁いでいるこの地に中古の家を買って引っ越してきたとかって聞いていますて。もう七十六とかで、ここへ来てからかなり経っているわけだけどの」
「そうかの。それにしても気の毒なことだったの」
「まったくですて、と言ったからとて、俺たちには何もしてやれないけど…」
「おっ、待った。今、吉田さんは何もしてやれないと言いなさったの」
「ああ、そう言いましたけど…」
功治の勢い込んだ言い様に吉田さんは怪訝そうな顔つきをした。
「それだよ。明日、三人でどうだろ?あの渡部さんとこの屋根をさ」
「雪掘りするってことかい?」
貞夫が確かめるかのように言った。
「そうだよ」
「そうですなあ。まだかなり掘り残してあるわけですから…それはいいところに気が付きましたがの」
「ウン、それは俺も賛成だ。あそこだったら積り具合からしても、三人でやればすぐ終わるよ」
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