| 実際に潰れ寸前とも思われる久恵の家を目の前にして、とにかくこの厳しい現実を回避することが先決だと思った。雪堀りはあくまでも久恵が無事・安穏に暮らして行くことができるための手段・手助けにとどまり、やはり、彼女の意向のように掘ってやるのが自分たちの役割なんだと思い直した。雪のことで誰よりも苦しんでいるのは久恵自身に違いなかった。
やがて吉田さんもやってきて、十時近くに三人は屋根へ出た。隣家でも雪掘りが始まっていた。主人なのであろう。赤いヤッケを身につけていたが、仕事のほうはまだ始めていくらも立っていないらしく、さして掘り進んでいなかった。
作業は予想を超えて難儀を極めた。雪が多すぎて二段掘り―百七十センチほどもある雪を、最初に上から半分くらいのところまでスノーダンプで掘り捨ててから、次にスコップで下半分の硬くしまっている部分の雪を掘り捨てる方式をとった。また、そうしなければ掘りにくくてどうしようもなかったに違いない。さらに屋根の前面の雪を後方へ捨てるには、前面の屋根の傾斜が除雪の邪魔になって苦しんだ。
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