| 六日七日の夜、久恵の恐怖には甚だしいものがあった。寝室に寝ているわけにいかず、彼女は玄関脇の物置の角―ここには太い柱があって、他の場所よりはいくらかでも安全なように思われたので、その柱の側に布団を敷いて震えながら目をつむった。だが、頭が冴え、マイナスの事態ばかり考えられてしまって、いつまでも寝付かれないまま、何回もトイレに立ったりした。
正月には交通の便の悪さも手伝って、とうとう二人の息子たちは顔を見せることなく終わってしまった。ただ、遠距離電話だけがかかってきた。一人で本を読み、絵手紙の筆を走らせ、俳句を詠むだけの静かな寂しい正月だった。元旦の町内集会所での年賀交換会以外には、他人と会話を交えることもなく過ぎてしまった。そんな孤独な正月三ヶ日に続くこの連日の降りである。どんどんかさばっていく屋根の積雪に、やきもきしながら空を見上げる状態が続いていた。
久恵の寂しさ孤独感は頂点に達していたとでも言うべきか。物置の隅の柱にすがりつくようにして身を縮め、小さくなって寝ている彼女の寝姿がそのことを語っていた。
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