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しかし、問題は下水にもあった。断水であって、しかも停電では水洗便所は用をなさない。便利なものほど、要件が一つでも欠けると機能しなくなってしまうことは考えていたが、汚物処理ができないというのは、即不衛生に連なるわけで、まことに困ったことになってしまった。このことをどうしたものやらと思いながら玄関先に出た。すると、節子さんの義母――ばあさんが万が一の危険事態を考えてのことであろう。自宅から道一つへだてた空き地に蓆をしいて日向ぼっこをしている。この日はすばらしい快晴だった。(そうだ、ばあさんなら何か良い知恵をもっているかもしれない)、そう思って下水のことをばあさんに話したところ、フロの水を落としていないなら、その水を水洗トイレの水槽に汲みいれて用いればよいと言う。早速試してみると、フロの水がきれいに汚物を流し去ってくれた。さすがに年の功、米寿のばあさんには生活の知恵があった。
常々、千葉県の柏市に住む妹は、いざというとき最も役に立ってくれるのがフロの水なんだから、フロだけは落とさないでいつも水いっぱいにしておくとよい――このように私に話してくれていた。今回はその妹の言ってくれていたことが見事に証明されたのだった。 |