Creator’s World WEB連載
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生き甲斐 第17回

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「うーん、ちょっとずうずうしい感じだな」
「ああ、いくらかずうずうしくらいの方が積極的でいいんだがね」
「そうかなー?」
「そうだこての。積極的に動いていかなければ、物事を自分の思うように展開させていくなんて難しいよ」
「分かった。やってみる」
文子は翌日、三度ばかり立ち話をしたことのある人・トモイの家へ出かけていった。初めてのことだから、何か手土産でもほしかったが、特にこれといって用意しておかなかったので、自分で編んだスカーフを手にして行った。トモイは文子の訪問を喜んで、「汚いところだけど、ぜひとも寄っていってほしい」ということで、お茶を出してくれた。
トモイは文子よりやや小柄とはいえ、すばしこそうな動きをしていた。年齢も文子より二、三歳若い感じである。
話の途切れたところで文子は言い出した。
「実は、今日はお願いに来たんですがの」
「おらに?」
「そうなんだて。お前さんでなければダメなんだがの」
「ヘエーッ、おらにできることなんてあるだろっか?」
文子は柏木のハガキをトモイに見せて、俳句をやりたいと思うんだが、一緒にどうだろうかと勧めた。八十歳以上の人がコースの半分を占めているという状況にトモイもびっくりしていたが、文子が柏木からハガキをもらうことになった詳細を話していくうちに、次第に興味を覚えてきたらしかった。文子が趣味の世界に浸ることから得られるメリットと思われることを話すと、トモイはこう言った。



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生き甲斐 第18回

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「おらはこれまで、ウチの仕事にかまけていて、趣味なんてものは、金持ちの爺さん婆さんだけのもんだと思ってきたのがほんとのことだての。だけど、今のお前さんの話でよく分かったて。おらも趣味を持つことにするて。やろうじゃない、一緒に、俳句をさ」
「そうかの。やってくれますか。これはありがたい。実はさ、おら一人だけではどうしようかと思っていたとこなんさの」
「俳句を作るなんて、どうすればいいか分からんけど、ちょっとくらい難しくってもいいがの。面白そうじゃないかの」
「ああ、おらは何年も前から作ってるから、わからんとこは聞いてもらえばいいて」
二人はその四月から公民館の生涯学習・俳句コースに入会して出席するようになった。送迎はトモイの旦那が車で引き受けてくれることになったので、文子にとっては大助かりだった。俳句コースには柏木も入っていて、みんなの世話係として働いていた。

一年間が過ぎ―文子はある文集に『俳句会』という題で文章を寄せて、次のようにむすんだ。
「〜楽しい会で、今では月二回の俳句の会が私にとって生き甲斐です」