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中村晋太郎
『最期の九龍城砦-番外編』
異客の目
[時空を超えて]
ひとり、誰もいない空間に身を置く。
錆びついた建物から発せられる‘時’の重みだけが漂う。
前に人の訪れた気配もなく、私も訪れた痕跡を残さずに去っていく。
昨日と同じ空気が流れ、また明日も変わらず繰り返されるだろう。
ある時以来、‘時’を刻むことを忘れた一帯は、全盛期の賑やかさをひっそりと包み隠している。
第1回
ある工場の廃墟に引き寄せられた時の情景。
屋根は取り壊され、太陽の光も雨風も受け入れる。
床の中央に無造作に積み重ねられたスクラップの山が、何かを語りかけているようだ。
‘剛’(ゴウ)というイメージの中に、‘寂’(ジャク)を感じた。
第2回
第3回
第4回